【ふじた学の週刊市政報告 令和8年6月第1週 】
視察報告:北の大地に学ぶ、地域共生と福祉の未来
~障がい者・高齢者・動物愛護・子育てを軸とした先進地視察報告~
このたび、5月13日から15日にかけ、北海道札幌市および千歳市を訪問し、福祉・医療・保健の先進的な取り組みを視察いたしました。行政の枠組みを超えた民間連携や、福祉を地域づくりの核とする情熱的な実践の数々は、これからの町田市のまちづくりを考える上で極めて示唆に富むものでした。その成果をここにご報告いたします。
【障がい者福祉】福祉をまちおこしの原動力へー単なる支援から「戦力としての福祉」への再定義
札幌での初日は、障がい者福祉を単なる「支援」の枠から解き放ち、「仕事」や「地域づくり」の基核へと再定義する極めて深い学びの時間となりました。
農福連携が拓く地域共生の未来を実践する「楽園プロジェクト」では、冬場の菌床しいたけ栽培や24時間365日の受託体制により、平均工賃10万円を実現する「戦力になる農福連携」の圧倒的な実践力を目撃しました。企業と福祉の溝を埋めるコーディネートには、社会貢献に甘んじないビジネス視点が不可欠であると痛感させられました。
また、安平町議会議員でもある「いんくるらぼ」の山村哲也氏が掲げる、福祉の視点で地域の困りごとを解決する「コミュニティシンクタンク」の構想は、福祉を町おこしの原動力として人口増や移住促進の循環に組み込む、まさに地域インフラとしての福祉の理想形でした。「人を耕し、地域を耕し、未来を耕す」という志に直接触れたことは、私の福祉に対する視座を大きく変える契機となりました。
【高齢者福祉】日常の動線に溶け込む孤立対策―スーパーを拠点とした「三方良し」の地域包括ケア
2日目、札幌市の「ホクノー健康ステーション」を訪問しました。同取り組みは、地域スーパーを核とする先進的な地域包括ケアシステムのモデルとして国の賞も受賞しています。最大の特徴は、買い物という日常の動線上に「無料・登録不要・いつ来ても帰ってもいい」という極めて心理的ハードルの低い集いの場を設けている点です。高齢化や孤独死が深刻化する団地群を抱える中、民間企業が住民に本気で寄り添った結果、スーパーは単なる販売拠点から、住民が繋がり支え合うコミュニティの拠点へと進化を遂げていました。地域住民がボランティアとして参画することで担い手の生きがいと低コスト運営を両立させ、行政の事業展開の場にもなるという「三方良し」の連携体制です。行政だけでは届きにくい隙間に日常の風景として溶け込むこのモデルは、民間の柔軟性と実行力の高さを証明していました。
【保健・動物福祉】人と動物、環境の「ワンヘルス」―福祉部局との連携で多頭飼育崩壊を防ぐ、最先端の動物愛護
続いて訪れたのは、令和5年に供用開始された札幌市動物愛護管理センター「あいまるさっぽろ」です。本施設は、建物消費エネルギーを50%以上削減した環境配慮型(ZEB Ready)であり、木造のぬくもりで「処分場」という負のイメージを払拭した親しみやすい空間です。充実した医療設備による譲渡動物のQOL向上、犬の殺処分ゼロの継続、SNSを活用した適正譲渡の推進など多角的な工夫が見られます。
特筆すべきは、多頭飼育問題を「孤立」や「困窮」という福祉的課題と捉え、社会福祉部局と連携して早期発見・対応にあたっている点です。市民・大学・ボランティアを巻き込み、環境・動物愛護・社会福祉を包括的に捉えた「ワンヘルス」の視点は、これからの地方自治体の重要な指針になると確信しました。
【子育て支援】妊娠期から18歳までの切れ目ない伴走―千歳市「こども家庭センター」の機動的なアウトリーチ
最終日は千歳市を訪れ、児童福祉と母子保健を一体化させた「こども家庭センター(ちとせ版ネウボラ)」の強固な組織マネジメントを調査しました。同市では、専門職による全数面接に近い「妊婦ネウボラ」を通じて、妊娠期から18歳までを対象とした機動的なアウトリーチを展開しています。「ネウボラファイル」を共通言語とした情報共有や、事務手続きに留まらない「対話」を重視した伴走型支援は、地域コミュニティが希薄化する現代において、一人の子どもを面で支える理想的な組織文化でした。
結びに:町田市での「真の地域共生社会」実現へ
今回の視察を通じて得た最大の知見は、どの分野においても「点」の支援に留まらず、地域や民間、他部局を巻き込んだ「面」のネットワークを構築している点にあ
りました。この先進的事例を糧に、我が町田市においても、孤立を防ぐ切れ目のない支援体制を構築し、子どもから高齢者、障がいのある方も動物も、誰もが役割を持ち、誇りを持って暮らし続けられる「真に豊かな地域共生社会」の実現へ向けて、全力で政策提言を続けてまいります。